当協会が考える「持ち味」とは

1.持ち味の定義

当協会では、持ち味をシンプルに「よい方向に発揮されるその人の個性(特徴的な部分)」だと定義しています。
持ち味と近い概念に「コンピテンシー(好業績を上げる人の行動特性)」や「強み」などがありますが、それらには他人と比較する考え方が入るのに対して、持ち味は他人と比べる考え方は入りません。

二宮尊徳は持ち味のことを「物や人に備わる良さ、取り柄」とし、それを「徳」と名付けました。また、「徳(持ち味)」を活かして社会に役立てていくことを「報徳」と呼びました。この「報徳」の考え方は、トヨタ自動車やパナソニック等、日本を代表する会社の経営のバックボーンにもなっています。

その他にも各界の人々が「持ち味」について大変示唆に富む語録を残してくれていますので、ご紹介します。

【参考】持ち味語録

2.自分の持ち味を知る意味、他人の持ち味を知る意味

持ち味は全ての人に備わっています。しかし、自分の持ち味に気がついている人はごくわずかです。多くの人は自ら他人と比べたり、他人から比べられたりして、本当の自分の良さを見失ってしまっているようです。
自分の持ち味を知り発揮することができたなら、人間としての成長の可能性と仕事のチャンスは限りなく広がります。また、持ち味を発揮しているときは、自分らしくイキイキ働くことができ、長期的には自分らしいキャリアを歩むことができます。

では、他人の持ち味を知る意味とは何でしょうか?もっと他人の持ち味を知り、お互いに認めたり、与えあったなら、次のようなことができます。
・相手に「自己肯定感」や「自己効力感」を感じさせることができる
・人間関係が良好になり、信頼関係を築くことができる
・協力しあって大きな成果を出すことができる
・他人の潜在能力を開花させることができる
・活気に満ちあふれた「いい職場」「いい会社」にすることができる

3.持ち味を活かす、磨く

「持ち味を活かす、磨く」とは、持ち味を自覚し、繰り返し行動して発揮することで経験値を高め、“自分らしさ(特徴、個性)”を育んでいくことです。下図は、持ち味の発揮プロセスを氷山モデルとして概念化したものです。
持ち味は、行動によって顕在化し、経験値の向上をもたらし、結果としての成果につながります。また、持ち味は単独で発揮される場合のほか、他の持ち味と結びついて発揮される場合があります。(他者の持ち味と結びつけると、大きな成果を発揮します)

持ち味の発揮プロセス

4.持ち味経営

当協会では、積極的に個の持ち味を活かした経営の実践、すなわち「持ち味経営」を推奨しています。
持ち味経営とは、経営者および管理職(以下「管理職」という)が社員一人ひとりと向き合い、一人ひとりの持ち味を把握し、その持ち味が発揮できるよう仕事をデザイン(考案・設計)し、与えていくことをいいます。そして、複数の社員の持ち味を結び付け、組織やチームでよりよい問題解決や新しいアイデアを出し合ったり、組織やチームの成果を最大にしていくことです。